まずは、出店する前の話から












最初は、チャットを読むだけだった
テニスのおすぎさんがリベシティに入ったのは、2021年2月。
最初の1年ほどは、チャットを読んでいても、ほとんど書き込めなかったといいます。
LINEもほとんどやっていなくて、オンラインが苦手でした。ただ、YouTubeで見ていた学長のことはひたすら好きで。「この情報をタダでもらっているのはおかしい」と思ってリベシティに入ったんですけど、半年くらい見ていないこともありましたね。
2022年、思い切って大阪で開催されたフェスへ向かいました。
会場にはたくさんの人がいましたが、どう話しかけたらいいのかわからない。
結局、誰とも交流できないまま帰りました。
周りの人がすごく楽しそうにしている中で、何もできない自分が歯がゆくて、悔しかったのを覚えています。
いまでは大きなブースをまとめているテニスのおすぎさんにも、そんな最初のフェスがあったそうです。












できることを伝えたら、次の一歩につながった
学長が以前から「人には会いや」と発信していたこともあり、オフ会には行ったほうがいいのだろうと思ってはいたものの、一歩を踏み出せずにいたテニスのおすぎさん。
きっかけは、名古屋で開かれたテニスオフ会でした。
主催者の引っ越しで「名古屋では最後」と知り、「これを逃したら、参加する機会がなくなるかもしれない」と、勇気を出して申し込みました。
そのとき、自分にできることも伝えました。
「テニスコーチなので、球出しができます」
「駅からの送迎もできます」
情報をもらうだけでなく、何か役に立てたら。そんな気持ちだったそうです。
ところが翌朝、「チャットの管理人になりました」という思いがけない通知が届きます。
「なりましたって、どういうこと?」って(笑)。管理人はオフ会をしなければいけないものだと勝手に思い込んで、人に教えてもらいながら2回くらい立ち上げました。その辺から、だんだん交流のハードルが下がり始めました。
「初めて」を重ねるうちに、怖かったことが少しずつ普通になっていきました。
はじめての方へ
オフ会は、どう選んで、どう始める?
テニスのおすぎさんが勧めるのは、いきなり自分で主催することではなく、まず誰かのオフ会へ行ってみることです。
僕なら、告知文を見て「この人、よさそうやな」と思う人や、いつも人が集まっている人のオフ会に、3〜5回くらい行くと思います。だんだん顔見知りが増えてきたら、その人たちと小さくオフ会を始めますね。
最初から大きな会を開く必要はありません。顔見知りの2〜4人で、ご飯会やカフェでの雑談会を開く。ほかの参加者が来なくても、もともとのメンバーで食事を楽しめます。誰かが来てくれたら、そこから少しずつ繋がりが広がります。
自分で開催するオフ会のテーマに迷ったら、自分の仕事や日頃やっていることも手がかりに。
「得意なことがない」と話していたホテル勤務の方に、テニスのおすぎさんが「ホテルへお得に泊まる方法のオフ会は?」と提案したところ、実際に多くの人が集まったこともあったそうです。














出店で何を出すかは、来場者目線で
リベシティで活動するハードルがなくなってきた頃、テニスのおすぎさんのなかに「フェスへ出店したい」という気持ちが芽生えます。
いちばんのきっかけは、最初のフェスで、出店者やボランティアの人たちがとても楽しそうにしている姿を見たことでした。
人と会うこと自体が楽しく、オフ会でお金の話ができるのも楽しかった。会う人の輪が広がっていく感覚も、背中を押したといいます。
会ったことのある人へ、DMで「一緒にやりませんか」と声をかけました。
ただ、このとき決めていたのは「出店する」ということだけ。
何を出すかは、集まったメンバーと一緒に考えました。
約2ヶ月、毎週のようにリベシティのオンラインスペース(ovice)へ集まり、みんなで話し合いました。
最初の案は、テニスのブース。
学長のライブでコメントを読んでもらうと、「誰がフェスでテニスすんねん笑」とありがたいフィードバックをもらったそう。
次は、自分が立ち上げて管理人をしていたアウトドアのチャットの流れで、ソロキャンプ用品というアイデアも。
でも、「フェスでテントを買って帰る人はいるだろうか」とメンバーからツッコミが。
案を重ねながら行き着いたのが、「キャンプめし」でした。
ニーズ、ニーズって考えていたら、「ご飯なら誰でも食べるんちゃう?」ってなりました。そこで、自分たちの好きなアウトドアとご飯を掛け合わせて、「キャンプめし」になったんです。
出店申請と企画書は、こう出した
出店の申請は、管理人をしていたアウトドアのチャットを代表する形で出しました。
2023年の企画書は、何を書けばいいのかも分からず、思いついたことをとにかく書いたそう。
2025年は読む人のことを考えて文字を減らし、「並ばせない」「売り切れを出さない」の2つに絞って書いたといいます。
メニューもオペレーションも試しながら決める
テニスのおすぎさん自身、飲食の販売は初めて。
だから、味も売り方も、試しながら決めていくことにしました。
ホットサンドのパンは、市販のものをほぼ全種類試しても、どれも「まあまあ」。
決め手になったのは、メンバーのひとりが持ってきた近所のパン屋さんのパンでした。外はカリッと、中はもっちり。食べたその場で、全員の意見が一致しました。

試食会は何度も開き、アウトドアのオフ会でも食べてもらいました。感想が集まるだけでなく、「フェスで買いに行くね」と言ってくれる人や、チームに加わってくれる人も現れたのだとか。
出店準備のヒント
試して決めたこと
- 1
何を出すか
出したいものだけでなく、来場者がその場で必要とするものを考える
- 2
味と形
商品やサービスはひとりで決めない。人に試してもらい、持ちやすさや分かりやすさなど、受け取る側の感覚も確かめる
- 3
売り方
本番前に小さく出して、反応を確かめる。看板の見え方、混む時間帯、用意する量、会計まで





















トラブルは起きて当たり前。
落ち着いて対処すれば大丈夫
初出店の2023年、本番2週間前に看板が白紙に戻りました。
看板づくりをメンバーのひとりにお願いしていましたが、初めての看板制作は想像以上に大変で、途中で続けられなくなったのです。
「ひとりに負担が集まる頼み方をしてしまった、自分の判断ミスでした」と、テニスのおすぎさんは振り返ります。
ほかのブースリーダーに聞いて回り、紹介された方に頼んで3日でデザインが完成。印刷も間に合いました。
この経験から、制作物はプロに仕事として依頼する、という考え方に変わりました。2025年はリベシティワークスで募集して、看板のデザインをお願いしています。
トラブルは絶対、何かあります。「来た、来た」くらいに思っておくと楽ですね。どうしようって考えていると、「あ、これをやってみよう」と思いつくことが多いです。
海外旅行にパスポートを忘れたことも、コーヒーオフ会にコーヒーを忘れたこともあるというテニスのおすぎさん。
困ったときには、慌てずどうすればいいかを考える。
そして、周りの人へ助けを求めて解決してきたそうです。
2025年は、いいと思った看板を参考にした
2023年に苦労した経験から、2025年は早くから看板の見せ方を考えました。
看板をどうしようかなと、ずっと考えていました。韓国で見た広告が「おっ」と思う見せ方だったので、写真を撮って、「このイメージで作ってください」とお願いしました。

「キャンプめし」のロゴに使っていたキャラクターを主役にして、ポップな雰囲気にしたいと相談。
商品写真も一つずつ見せ、離れた場所からでも何を売っているのかわかりやすい看板になりました。
はじめての方へ
過去の出店者に聞いてみる
初めてなら、過去に出店した人に話を聞きに行くのがいいと思います。2027年に向けて、実際に前回・前々回に出店した人へ相談している人もいるそうです。聞くときは、何に困っているのか、どこまで決まっているのかをまとめておくと、相手も答えやすいですよ。











35人の役割は、一緒に動くなかで見えてきた
2025年は、4区画を35人で運営しました。
仲間集めのもとになったのは、普段のオフ会です。
ゴミを持ち帰ってくれる。必要なことを先回りして引き受けてくれる。改善案を出してくれる。
そうした普段の小さな行動を見て、直接会ったときやDMで声をかけました。
声かけは段階を踏みました。出店申請の前に、幹部メンバー3人で打ち合わせ。申請後はメインメンバーに声をかけ、出店が決まってからは、オフ会で会う人へ本格的に声をかけていきました。
リベシティとは別のイベントにも、メンバーと一緒に出店。2024年6月に地元のマルシェへ初出店し、2025年はフェスの前哨戦として、4月と5月にマルシェへ出店しました。
そこで、いろんな課題が見つかりました。
- 自分たちには見えている看板が、来場者からは見えていない
- 思っていたより売れない
- 売れやすい時間帯がある
- 仕込む量の加減が難しい
- 会計ではミスが起こる
小さな場で一度やってみると、本番に向けて直すところが見えてきます。
そして実際に動くと、普段の交流だけでは見えなかった得意なことも表れます。
みんなが「どうしよう」と言っているときに、「じゃあ、こうしましょう」とパッと言える人がいるんです。一緒に何かをやると、その人の役割が見つかるなと思いました。
スプレッドシートをまとめるのが得意な人には、そのまま情報整理をお願いする。
イベントで意外な力を見せてくれた人には、メニューを一つ、丸ごと任せる。
最初に細かく役割を当てはめるのではなく、一緒に動きながら、それぞれが力を発揮しやすい場所を見つけていきました。
僕は何も能力がないので、人に聞いてやる、って感じでした。「やろうぜ」って後ろで言っているだけです(笑)。
揉めないために決めていたこと
テニスのおすぎさんが特に避けたかったのは、仲間同士のトラブルでした。
すべてを多数決で決めるのではなく、自分が責任を持って決める。
誰かに任せたら、その人の意見を聞き、細かく口を出しすぎない。
その姿勢を大切にしていたといいます。
出店準備のヒント
チームづくりで大切にしたこと
- 日頃の関わりから普段の小さな行動や現場での動きを見て、声掛けや役割分担をする
- 一度やってみる本番前に、チームで小さな出店や作業を経験する
- 決めるのは自分、任せたら任せきる多数決にせず、自分が決めて責任を負う。任せるところは任せて、相手の意見を尊重する













来てくれた人の時間を大切にしたい
2度目の出店で、テニスのおすぎさんが最初に決めたテーマは2つ。
「並ばせないこと」と「売り切れを出さないこと」。
フェスで過ごせる時間には限りがあります。
2023年の経験から、次に直したいことがはっきりしていました。
並ばせないための工夫
当日のブースは、フードコートに近い流れにしました。
- 混雑緩和の列分け注文・決済の列と、受け渡しの列を分ける。混むのは注文・決済で、受け渡しは混まない
- 一部チケット制に事前予約はフォームで受付。当日ブースで決済し、複数枚つづりのチケットをお渡し。チケットがあれば注文・決済の列には並ばず、受け渡しの列で商品を受け取れる
- 決済は「Square」スマホを端末として使えるサービス「Square(スクエア)」を利用。複数のスタッフが会計を受けられるが、売上は一つのアカウントに集まる仕組み(2023年は手計算で大変だったそう)
- 素材で効率アップメニューの種類は増やしつつ、使うパンやソーセージは同じもの。用意するものを絞ることで、売り切れと仕込みのムダを減らす
- メニュー名も工夫看板は、何のお店で、何が買えるかがひと目で伝わるように。「ほろほろチキンカレー」の「ほろほろ」には、スプーンで食べられる、という意味が込められている
それでも、読み切れなかったことはある
2023年に完売したカレーは、2025年には思ったほど出ず、食材が多く残りました。
理由のひとつは、食べる場所にあったようです。
2023年はブースの近くに座って食べられる机がたくさんあり、カレーがよく出ました。
2025年はその条件がなく、片手で食べられるサンドが選ばれて、器で食べるカレーは注文されにくかったといいます。
カレーは今回、だいぶ苦戦しました。かなり廃棄したので、ちょっと泣きそうでしたね。
前回に売れたものが、次も同じように売れるとは限りません。
商品そのものより、「どこで、どう食べてもらうか」まで含めて考える。
同じ商品でも、会場の条件で売れ方が変わることを教えてくれました。
出店準備のヒント
待たせない、切らさないために
- 待つ場所を見つける混むのは注文か、会計か、受け渡しか、説明か。まずそこを見る
- 分担できる流れに受付・会計・受け渡し(相談型なら受付・相談・案内)を、ひとりで抱えこまない
- 量や商品は今回の条件で検討前回の実績だけで決めず、今回の会場や内容を踏まえる

価格は、かかる費用から考えた
価格を決めるときは、普段のお店の値段をそのまま当てはめるのではなく、フェス出店にかかる費用から逆算しました。
ブース代、電源、機材のレンタル、看板、食材、名古屋からの輸送、そして人件費。
全体を見積もり、「用意した量の半分が売れたら、費用をまかなえるくらい」を一つの目安にしたそうです。
お金の勉強をする場所に出店するのに、自分たちが赤字を出すのは違うよな、と思っていて。だから、ちゃんと計算をして臨みました。「売上がすべてを癒やす」って、学長も言ってますし(笑)。
結果として、2023年と2025年は、どちらも黒字で終えることができました。
ただし、2025年は黒字になった一方で、残った食材の負担もありました。
売上だけでなく、準備した量まで振り返ることが、次の改善につながります。

















安さだけで決めず、自分たちの時間も考える
2023年は、機材コストを抑えるために、メンバーが持っていた機材を借りました。
ですが、搬入・設置・撤収まで行う負担は想像以上だったといいます。
鬼のようにきつかったです。今なら、運営さんから借りるほうが圧倒的にコスパがいいとわかります。その時間で、もっとほかの準備ができましたから。
任せたこと・自分たちで取り組んだこと
外部に依頼
- 機材の搬入・設置・撤収
- 看板の制作・取り付け
チームで対応
- メニューの試作・試食会
- メニューと価格の最終決定
- 会計や受け渡しの準備
- メンバーの役割分担・シフト
空いた時間にできたことで大きかったのは、6月30日に開いた試食オフ会でした。
メンバー全員で試作・試食をして、メニューと価格を最終決定。調理の手順や道具の検討、当日使う備品の受け渡し、シフトの最終確認までまとめて行いました。
メンバーの営業練習と、事前の交流の場にもなり、当日の動きが一段スムーズになったそう。
チーム内の担当に仕事を任せることで全体を見る余裕ができ、人手の足りないところを都度補えたといいます。
出店準備のヒント
コストを考えるときのコツ
- 費用を全部洗い出す商品や材料だけでなく、ブース・電源・機材・看板・輸送・人件費まで
- 時間もコスト事前準備・搬入・設営・撤収にかかる時間を考える
- 分担を早めに決める自分たちでやるべきことと、外部業者やプロに依頼することを分ける
※費用や利用できる設備は、ブースの種類や開催年によって異なります。2027年の出店条件は、最新の募集要項をご確認ください。
出店までの流れ(テニスのおすぎさんの場合)
2025年の出店準備を、時期の順に並べました。
これから出店を考える方は、自分の計画に置き換えて読んでみてください。
申請の前
幹部メンバー3人で打ち合わせ。申請後はメインメンバーへ声かけ
仲間集めは段階を踏んで
3月末〜
チーム始動。マルシェとフェスの準備を並行して進める
出店が決まったら、オフ会で本格的に声かけ
4月・5月
前哨戦として、地元のマルシェに2回出店
看板・売れる時間帯・仕込みの量・会計を試す
5月下旬〜6月上旬
看板・ブースデザインの制作者をリベシティワークスで募集し、依頼先を決定
プロに任せるものを早めに決める
6月30日
試食オフ会。メニューと価格を最終決定し、調理手順・備品・シフトも確認
メンバーの練習の場にもなる
7月
搬入・設営、そして本番。機材の搬入・設置・撤収は運営のレンタルに
時間を空け、全体を見る余裕を残す
※時期は2025年の例です。募集や申請の時期は、2027年の募集要項をご確認ください。
テニスのおすぎさんのブース運営のポイントまとめ
飲食ブースを35人・4区画で運営した一例です。出店内容やチーム規模に合わせて、取り入れられる工夫を参考にしてください。
- 企画書は、読む側の気持ちになって、必要な情報をコンパクトにまとめた
- 注文・決済の列と、メニューごとの受け渡しの列を分けた
- 事前予約はフォームで受け、当日はチケットで受け取れるようにした
- 会計はスマートフォンの決済アプリにして、売れた数を一つに集めた
- 機材は運営のレンタルにして、搬入・設営・撤収を任せた
- 看板は早くから見せ方を考え、制作と取り付けを人に依頼した
出店して、得られたもの
みんなで一つのことを達成するまで頑張るのは、部活みたいで楽しかったです。ゼロから一を経験できましたし、人間関係のことも学びました。飲食未経験だったので、「一応、お店を出せたんだ」という自信もできましたね。
その後、フェスのブースをきっかけにキッチンカーの話をもらい、新しい仕事へつながりました。
出店者同士のつながりも残りました。
ブースリーダー同士で食事へ行ったり、その人のお店を訪ねたり。
各地に知り合いができたことで、「日本が縮みましたね」と笑います。
前日から会場へ入り、設営の様子を見られるのも、出店する側だからこそ味わえた楽しさでした。
来場するだけでも楽しめるフェス。それでも、出店した側だから感じた違いを、テニスのおすぎさんはこう話します。
何かしら携わる側に回ると、得るものも、楽しさも全然違います。迷っているなら、一回やってみてはいかがでしょうか。
